2012年10月16日火曜日

新旧さぬきの夢

さて皆様、以前、讃岐うどんの粉は殆どがオーストラリア産であるという記事を書きました。

http://zugai-no-yuragi.blogspot.jp/2012/05/blog-post_22.html

これは事実なのですが、国内産も頑張っています。

関東でも北海道でも、そして更によく目を向ければ、細々と全国で作られています。

うどんの世界では、これら国産の小麦粉を

「内麦(ないばく)」 (外国産は、外麦=がいばく)

と呼びます。

安く、圧倒的な量の外麦には、価格の面で全く太刀打ちできないので、

政府のテコ入れが行われており、

販売価格の何割かを国が負担することで安価を実現しています。

しかし、その国の負担額は輸入小麦への上乗せ金でまかなっているという複雑さ。

ここら辺の話は難しいのでまた今度。

詳しく知りたい方はその他小麦情報を含め木下製粉社長の本をお勧めします。

香川の讃岐うどん屋に沢山の小麦を卸している会社の社長が書いた本で、とても面白い。

しかし、実は社長が小まめに書いているHPも面白く、

本に書いてあることは大体書いてあったりする上に、タイムリーだ。

http://www.flour.co.jp/01_update/ud_301_400.html

折角本を書いたのに、こんなにHPにタダで書いてしまったら本が売れないだろう、

と思うのだがあまり気にされていない様子である(笑)

でも、パソコンのディスプレイを長時間見るのは目が疲れるので、是非本を買ってみて下さい。

アマゾンで見ると、中古価格も高いので、新品で買った方がよりいいと思います(笑)



閑話休題。

その内麦の中で、うどん王国である讃岐で品種開発され、

讃岐で育ち、讃岐でうどんとなるために生まれたのが


「さぬきの夢2000」


なる小麦粉です。その名のとおり、2000年より流通しています。

モチモチとしており、香り高い品種で、ファンも多く、

香川に行くと「さぬきの夢2000専門店」というのぼりを上げている店をちらほら見ます。

さて、そんなさぬきの夢2000ですが、味は良いが、普及はイマイチ。

何故かというと、非常に製麺しにくいらしい。
僕はあくまでもうどん屋さんではないので、どのくらい難しいのか体験的には分からないのだが、

みんながみんな、口を揃えて難しい、というので難しいのだろう。

何故難しいかも、木下社長の本を読んでもらった方が話が早い。


特に興味の無い方は、

さぬきの夢2000という内麦があることと、

それが、美味しいけど製麺しにくいということを覚えて頂ければ十分だ。

製麺しにくい、ということは、あまり美味しい麺が食べられない、ということに結果的になってしまう。
そんなこともあり、夢2000の人気はイマイチだった。

イマイチだったのは、もう一つ原因がある。

モチモチとした食感が非常に独特なのだ。

これは万人受けはせず、好きな人は大好きだが、嫌いな人も多い。

結果、あまり消費量は伸びなかった。

そこで、県は打ちやすさに拘って改良した夢2009を開発、昨年から徐々に切り替え中だ。

癖も少なくなっている。

来年には完全に切り替わってしまうので、

両方食べ比べられるのは今のうちだけ。

ということで、やっと本題のこれ。




香川県坂出市の 日の出製麺所 謹製のさぬきの夢2000と2009食べ比べパックである。

香川一古いとされるこの製麺所では、上述の木下製粉の粉を使用して(他社のも使用)、
色々な生麺を発売しているが、夢2009も早い段階から製品化。

左が2009、右が2000。2009の方が色が濃い、というか黄色みが強い印象です。





これ、2000

と、ここまで書いてきてふと思いますが、マニアック過ぎますね(笑)

ということで、さっさと茹でてみます。




上が2009、下が2000

肝心の味は、2000の方がモチモチとしており、非常に特徴がありました。

好きな人は好きだけど、嫌いな人は多分嫌い、というくらいの癖です。

しかし、2009は良くも悪くも普通(オーストラリア産)に近い印象。

内麦食べてる!という強烈な印象は無くなりました。
しかし、オーストラリアに比べるともちもち感はまだまだ圧倒的で、香りも高い。

これから普及が楽しみな粉です。

それにしても、日の出の麺は美味い!!

どっちも美味くて、最終的にはまあ、どっちでもいいか、という気になります(笑)


真ん中の八割研磨については、また今度!!
(このパックスタイルは、三商品とも通販では非売品です)