2015年10月10日土曜日

牛コロ宮内 (名古屋)


名古屋、今池で人気のうどん居酒屋、太門の店主とブラブラする機会がありまして、

こちらのお店に連れて行ってもらいました。

「牛コロ(登録商標) 宮内」

であります。

牛肉の入ったコロうどんを出すお店ですが、

「コロうどん」自体が名古屋以外の人にはなじみが薄すぎるかと思います。

香露とも書く、中京地区独特の表現で、どんぶりに盛ったうどん(主に冷たい)に、

濃いだし汁をそのままかけたものです。

全国区になった讃岐うどん的表現では

「ぶっかけうどん」

が近いかと。

麺はやわやわ、ぶわぶわですが、もちろん失敗作ではなく、伝統に基づく狙いを感じるモノです。
明確に打ち出された「個性」ですので、今の主流からすると

「美味くはない」

と思う人も多いでしょうが、
個性的になものにはきちんとファンがつくのが世の中で、多くの人で賑わっていました。

失敗で柔らかくなってしまったうどんにはファンがつかないが、狙って柔らかいうどんには、ファンがいるのです。

その麺の柔らかさは殆ど「伊勢うどん」のそれでありました。

聞くところによると、かなり古いスタイルで、以前の名古屋にはこういううどんが多かったとのこと。

飛び抜けて柔らかいことで有名な伊勢うどんですが、あの地区だけ急に柔らかいわけではなく、中京地区全体で腰のない、というか、わざと腰を抜かした麺を好んでいたことが分かる貴重な体験でした。

うどんに添えられているのは、梅エキスジュース。理由は分かりません(笑)
ラーメンはメニューにない裏メニューですが、言えば気軽に作ってくれます。これは本当に美味いです。


牛ニコは、牛入り味噌煮込みうどんの略です。これは難しい(笑)



2015年8月7日金曜日

金トビめん カレー煮込饂飩

今回は、家での乾麺。

しかし、普通の乾麺ではない。

生麺を凌ぐ逸品を大量に出している、

愛知の「金トビ志賀」という製粉メーカーが出している、名前からして一癖有りそうなものだ。

カレー煮込饂飩は、金トビのオリジナルではなく、最近名古屋の饂飩屋(麺類屋)の

若手が仕掛けている味噌煮込みうどんの新しいバージョンである。


味噌煮込みうどん最大手の「山本屋」がカレー味噌煮込み専門店

鯱市 → http://www.syachi-ichi.com/syachi.html

を平成25年に繁華街である大須や伏見に出したりしているほどである。

その流れを受けて出されたのであろうこの乾麺だが、

画期的なのは

①材料が愛知県産で固められている。

②作り方が実に簡単である。

の2点である。

①について見てみよう。

まず、何と言っても代表的材料である小麦粉が愛知県産の「きぬあかり」である。

これは、愛知県肝いりで開発され、愛知で栽培される、ザ・愛知といった感のある小麦粉だ。




もちもちとした食感が特徴。

更に、味噌はもちろん八丁味噌だが、これも愛知県産



これをカレーと合わせてあるのだから素晴らしい。

さらには

おからペーストまで練り込まれているそうだ。


こんなに魅力的な材料で作られている本品だが、

作り方は至って簡単だ。

普通乾麺とを茹でるとなると、大きな釜でゆであげ、ざるに揚げて洗う必要がある。

しかし、ここは味噌煮込み饂飩である。

鍋一つで茹でて、そのまま食べればいいのである。




500㏄の水。

材料と麺を入れて茹でる。

6分茹でたら粉末スープを入れ、更に2分茹でて終わり。

これはまさに、インスタントラーメンの作り方である。

途中で味噌を投入するくだりと、ゆで時間のちょっと長いのは、すがき屋の味噌煮込み饂飩を彷彿とさせる。


こんな感じでグツグツやって


ルーを入れれば終了。

どんぶりに移して、生卵をのっけてみた。

もちろん、土鍋があれば鍋から移す必要もなく、まさに味噌煮込みうどんそのものである。

プリプリな麺と、奥深い味噌カレーが素晴らしかった。

食べた後のスープは写真写りが悪いので、掲載はやめたが、

今回はカレーリゾットにして余さず頂いた。

これは本当に素晴らしい商品ですぞ。

新幹線ホームで提供される、冷凍きしめんしか食べたことがない方は是非!

2015年2月22日日曜日

長谷沼@本川越

先日川越にある長谷沼さんで、うどん食べてきました。
人形町の谷やで修行された主人がやってます(ちなみに、谷やは、香川のもり家での修行)。
私、伊吹島のイリコ漁師に知り合いがおりまして、網元からの直接イリコ取引の案内もしています。漁協、問屋経由のモノは残念ながらあまりクオリティーが高くないのを嘆いた網元が、違いの分かるお店に直販を希望しているのですが、長谷沼さんに一年ほど前に紹介したところ即断即決。
だし汁は猛烈に濃厚でクリアなものになっています。
かなりイリコにうるさい香川県人でも多分ここまで凄いのは食べたことが無いんじゃないかと思います。

都内某所で超高級魚屋を営んでいる友人も連れて行ったのですが、彼が驚いていたのでそのクオリティは間違いないと思います。
普段も良いのですが、この日は予め行くことを言ってあったので、煮干しのだし汁あんかけ豆腐、イリコ飯、うどんの刺身など変わったモノを色々出してもらいました。
うどんは特に、イリコ倍量うどんを提供して頂きました。良質イリコを更に普段の倍使用。
三枚目の写真にある、左側の丼のイリコと同じ量が右のうどんの一杯のだし汁に使われているという豪華さです。
悪いイリコだと生臭く、油っぽくなってちょっとあまり濃いとちょっと厳しいでしょうが、これはひたすら美味いです。
普段も気が向くと10食程度出していることもあるようですが、普通のメニューではないのでご注意。
量販店の雑な味のうどんももちろん香川育ちの私には好ましいのですが、職人が良い素材を選んで丁寧に作ったうどんの良さも、それはそれで素晴らしいものです。



2013年6月13日木曜日

柳久保小麦+不動うどん@東久留米

昨今のうどんブームで、東京でもうどんが見直されている。


見直された結果、

実は東京では古くから蕎麦よりも饂飩の方が親しまれていた、

というようなことも言われ始めている。


それがあながち饂飩派のゴリ押しではないのは、饂飩を沢山食べる地域が

現存していることからみても、確かなことであると言えるだろう。


高度に資本主義化した都市部は、情報、ブームによって店が動く。

ここで主流なのは勿論蕎麦だ。これは疑いない。


しかし、直線で20キロも離れると、江戸時代から、

麺と言えばウドンだった、という地域が、

特に東京の西部には沢山ある。

更にもう少し離れた、関東平野は、加須、羽生、高崎、前橋、桐生と、まさに饂飩天国である。


これらの土地は香川と同じく、戦後の蕎麦・ラーメン至上主義の

時代をひっそりと、しかし土地にしっかりと根付いて生き残り、

讃岐うどんブームをきっかけに訪れた饂飩の波によって、再び日の目を浴びようとしている。


ところで、この地域の饂飩と、讃岐うどんの大きな違いは何か。

つけ汁が主流の東京と、かけうどんが主流の香川という違いや、

麺の太さなど、様々な要素があるが、

この平成の現在、一つ大きな違いとして言えるのは

香川の饂飩の主流はオーストラリア産であるのに対し、

東京周辺の古くからのうどん屋さんは国産を好んで使用している店が多いということだ。



香川のうどんは、ツルツルで色白なことが求められる。

喉越し、なる言葉で評価されることが多いことから分かるように、香川では

ずるずるっ! と一気に啜れるしなやかさが重要だ。

讃岐うどん=コシ と言われることも多いが、

コシと、しなやかさは、讃岐うどんを語る上で絶対に外せない二大要素で、どちらかだけでもダメだと思っている。

さて、この、コシとしなやかさ、そして色白には、オーストラリア産が最も適しているのだ。

香川の饂飩も昔は白くはなく、食感ももそもそとしていたという証言はいくらでもある。

戦後急激に各店舗がしのぎを削るように、コシ、しなやか、色白を追い求めた結果、

殆ど全ての店がオーストラリア産を使用するようになったということらしい。


一方

東京周辺のうどんは、色黒、極太で、数本ずつもぐもぐと噛んで食べる、まさに小麦粉を練ったもの!

というような風情のうどんが多い。

香川の様な食べ方をしたら、窒息して死にそうになる上に、胃もたれを起こしそうなうどんだが、

小麦の香りが高く、しっかりした、麺そのものに深い味わいのあるうどんを、じっくりと噛んで食べるのは、非常な喜びである。

この様なうどんには、国産が適している。

というより、国産の小麦で作ると基本的にこの様なうどんになるから、昔そのままに作っているだけだとも言える。


香川は田舎で、住んでいると嫌になるくらい保守的なのだが(笑)、饂飩県だけあって、うどんだけは保守では無く、常に最良と、県民の理想を追い求めた結果、小麦の産地などには拘らなくなった。
ひたすらな理想主義が産んだ饂飩といえよう。


それに対し、常に日本の先端を走り続けてきた筈の東京であるが、最先端だったのは都心部だけで、ちょっと離れると香川以上に保守的なうどんがゴマンと残っているのは非常に不思議な感じがする。



さて、前置きが長くなったが、今回は東京のご当地小麦

柳久保小麦

の話である。




江戸時代に開発されたこの小麦は、東京、神奈川で広く栽培されていたそうだが、

戦前に姿を消した。

国産小麦大好きな東京でも栽培されなくなった。

代わりに栽培されたのが、国産小麦のスター、現在も横綱の

農林61号である。

さて、何故柳久保小麦が栽培されなくなったのか。

理由は上の写真をじっくり見ると分かる。

主に2点ある。


1、背が高い。

一見良さそうだが、風で倒れる確率が高い。

よって、今の小麦は品種改良で、なるべく背を低くします。

あと、昔は麦わらの用途が沢山あったので、背が高いことは材料が豊富に取れることも意味しており、重宝がられたが、

麦わらを使用しなくなった現在は、不要品の処理に困らない、という点でも短い方がいい。



2、穂が短い

要するに、1本当りから取れる粒が少ない、ということです。

これは相当重要なことで、一つの穂あたり10粒違っても、数百ヘクタールという規模で考えると、

大変な違いになります。

植え付け、刈り取りなど、同じ労力で10%程度多くの収穫が得られるわけで、10%は上に書いたように、大量作付けを考えたときには大変な違いとなって現れる。


こんな理由から、栽培されなくなった柳久保小麦。

農家の片隅で、ひっそりと眠っていたタネを、町おこし用に復活して、今盛り上げ中。



店内に飾られている小麦。この写真を見ると、相当背が高いのが分かる。



色々な商品を作っているようだが、もともとうどん用だったこの小麦、

饂飩に使わなきゃ意味が無い、

でも、結局うどん屋は、この小麦の原価が高すぎて誰も使わない(笑)

プロはやはりシビアです。


さて、こんな時に力を発揮するのは誰か?

採算度外視で、町のため、とか、楽しいから

という理由で動くのは誰か?

そう、アマチュアであります。




ということで、鉄工所経営の不動氏が、自宅の庭先にプレハブを建設。


これが、幻の小麦、柳久保小麦100%使用の「不動うどん」である。


ツルツルで、色白が好きな人に向け、ちょっとオーストラリア産に近い北海道産も用意するが、

狙うは当然柳久保。

不動さんもメニューに出しておきながら

「北海道産は食べても面白くないよ」

と言い切る(笑)



茹であがりを待つこと暫し。

これが伝説のうどん!!


肉汁に付けて食べる、伝統的関東スタイル。

麺のアップ


ちょっと色黒なのがおわかり頂けるだろうか。

それにしても、素晴らしい艶!!


箸休めには、自家製の梅干しをどうぞ!

ということで、あっという間に頂いてしまいました。

帰りは、こんな長閑な風景の中を歩きます。



みなさん、行ってみたくなったでしょう~



最寄りの東久留米駅まで

徒歩30分。

営業は、金・土・日の11時~15時です。

相当厳しいですが、小麦の歴史と、アマチュアの心意気が味わえます。

是非!

東京都東久留米市前沢3-4-3

042-476-6696





2013年5月28日火曜日

大阪千日前・釜たけうどん 東京駅フードストリート出店・プレオープン。キムラ君東京上陸。






5月27日(月)、このあと29日(水)にオープンする釜たけうどんのプレオープンに行って来た。

大阪のお店は、難波の地に讃岐うどんを定着させた店として関西では非常に有名である。

大阪のお店のHP → http://kamatakeudon.kt.fc2.com/ 

上の写真は

「キムラ君」

キムチと、食べるラー油を使用していればOKで、饂飩をはじめ、中華料理などに一気に広まったこのメニューだが、

考案したのはこのお店の店長、木田氏である。



この日、何でか木田氏の写真を撮るのを忘れてしまったので、この写真。

前日に、大手町に開店した焼き鳥専門フードコート「全や連」のはんつ遠藤氏、

名誉館長就任パーティーに、僕が木田さんに声を掛けたところ、

すぐに来てくれたのだ。

左が木田さん。


お店はこんな感じ。

東京駅のフードストリート1F。

改札の外なので、誰でも気楽に寄ることができる。




この日は関係者のみ。


でもメニューは充実。


まずは、本店にはない、細打ちのざるうどん。

これは面白い麺だ。

本店の麺は太くてもっちりしているので、細い麺は釜たけとしては新鮮。


一緒に行った饂飩塾の方々などと、始めは恐縮していたが、

バリバリ飲む。



今日のおつまみは、炙りしめ鯖。



やはり、釜たけといえば、ちく玉天ぶっかけ。

ぶっかけの上に、ちくわと、半熟卵のてんぷら。


こちらの麺は、太くてビニョーンとした、釜たけらしい麺。

半熟卵が美味しいよ~


そしてキムラ君。



店内はなかなかシックです。


さて、どれも美味しく頂きましたが、特筆すべきはカレー!!

ダシが素晴らしい。麺ともあっている。

ダシに何が含まれているかは食べてのお楽しみ。唯一無二のカレーである。


キムラ君、カレー、ちくたま天



この三種類は、絶対に食べたもらいたい。他では食べられない特殊な逸品です!!




釜たけうどん 八重洲北口 03-3212-9056

東京都千代田区丸の内1-9-1東京駅 改札外1F キッチンストリート







2013年3月31日日曜日

手打ちうどん 長谷沼 @本川越 3月31日オープン


西武新宿線の終点、本川越駅から徒歩1分の場所に「長谷沼」がオープンした。


お店の外は華やかなお祭りムード。

以前「才谷屋」というお店があったところ。

都合により才谷屋が閉店して二ヶ月での

スピード開店となった。



オーナーは、この才谷屋で修行をスタートさせ、その後人形町の「谷や」に居た長谷沼氏。

2月に谷やに行ったときは、まだお店に居た長谷沼氏。ここから一ヶ月での新店オープンとなった。


店内は、才谷屋から一転して、シックな感じ。




卓上には桜が。


その向こうにあるのは、セルフ形式のカウンター


上には、カレー丼、牛丼などのサイドメニューの表が並んでいます。

こちら、うどんメニュー

入り口で注文して、天ぷらなどを取り、奥のレジで精算する典型的なセルフ形式。

壁には、お酒もあり、夜の部(17時~21時)では、お酒とおつまみも提供される予定。

さて、おうどんは、シンプルにかけうどんにしてみました。

麺は太くてモチモチ。非常に食べ応えがあります。

一瞬柔らかく感じますが、噛みこんで行くとコシがしっかり出てきます。




つやつやで、これは良い麺です。

ダシは、ちょっと谷やのに似て昆布が前面に出たタイプですが、イリコもしっかり効いています。

香川県民の私としては、もうちょっとお魚が効いても嬉しいです。



外で写真を撮っていると、その数分の間にも

「あ、ここのうどん屋復活したんだ」

「またうどん屋になったな~」

と話ながらしげしげと覗き込んでいく人多数。

やはり才谷屋は親しまれていたんですね。

親しまれていた店の後に、同業種が出店すると皆喜ぶと思います。


手打ちうどん 長谷沼

川越市中原町2-1-13
049-277-4838

11時~15時・17時~21時
定休日は当面不定。

西武新宿線本川越駅からすぐですが、

東武東上線の川越駅から徒歩10分、

川越市駅からも徒歩7分ほどで、充分徒歩圏内です。