2013年1月17日木曜日

うどん屋?いや、製麺所。 三嶋製麺所

うどんブーム以来、大阪、東京など、都市部から香川へのうどん訪問が盛んになった。

「分かりにくいうどん屋」

「民家みたいなうどん屋」

が大いにもてはやされた。


須崎なんかは、その典型例だろう。





道久製麺所もなかなかいい。



しかし、これらは厳密にはうどん屋ではない。

製麺所である。

前回の堂尾でも書いたが、そもそも麺を作って、

お店やスーパーなどに卸していたのである。


製麺所は、うどんを作るだけで、

本来うどんを食べさせる場所ではないのだ。




ところで、製麺所の近くに住んでいる場合、

近所のうどん好き(うどん好きだらけだ)はどの様な行動を取るだろうが。


当然、スーパーなどに買いに行くより手っ取り早いので、

「一玉直接わけていた(分けてくれ)」

と言いに行くに決まっている。


田舎のことであるから、断わることはありえない。

うどん玉は大量に作るので、一玉くらい分けたところで、大丈夫。


そんなノリになるのは目に見えている。


昼飯の時、うどんを食べたい。

徒歩三分の所に、うなるほどうどんがある、製麺所がある。

こういう場合、

丼を持って行って「これに一玉入れてくれ」

と言いに行くのが一番話が早いのである。



そしてそのうち、

家に持って帰るのも面倒くさいから、

ここで食べさせてくれんか?

となる。

讃岐人は立ったままうどんを食べるのが平気である。

店が混んでいると、立って食べてる人をよく見かける。


ずるずるっと、一分も経たずに食べ終わるので、

立っていても平気だ。



讃岐の基本的な麺は、かなり柔らかく、

うどんは飲み物であり、喉越しを味わうべし

ともよく言われる。

東京で発達した讃岐うどんは、かなり固いので、

立って一分で食べることも、もちろん

噛まずに飲み込むことも不可能だが、

香川の麺ならいける。


そして、醤油をかけて、製麺所の片隅で立って食べる。

こんな感じで、近所の人を受け入れていたら、

うどんブームでどんどん都会の人が紛れ込み始め、

儲かるから嬉しいやら、大変やらでどうしたらいいか分からないうちに、

すっかり店舗のようになってしまった所も多い。


そいう店のことを

「製麺所系うどん屋」

と言って区別している。

始めからうどんの提供を目論んで成立したものではなく、

製麺の傍ら、近所の人に一玉分けてあげていたのが、拡大したのが製麺所系うどん屋だ。



これらは、そもそも飲食店としての店舗設置を考えていないので、

お客が来やすい必要はない。


従って、とんでもない山の中とか、

国道から1本も2本も裏道に入った田んぼの中とか、

住んでいる人しか通らない路地の奥とか、

そんな所に気ままに点在している。



お店は、マーケティングをして、人通りの多い場所に作るべし、

という鉄則に従って作られている都会の店(というか、普通はそう作られている)

に慣れた人にはこれが目新しかったわけだ。


今でも、製麺所兼飲食店として二足の草鞋で頑張っている店は多数有る。

香川うどんツアーの人気を担っているのは、こういう店が殆どだ。






三嶋製麺所も、こんな感じである。

まったく店舗には見えないし、

営業しているのかしていないのか、全然分からない。



お客が少なく、出入りしていない状況だったら、ここに始めて来て入るのは相当勇気が必要だろう。



中は雑然(笑)

右の台で、おばちゃん達が完全な手作業でうどんを作成。

セイロに詰めている。

機械化のかけらも感じられない、アナクロそのものの雰囲気に痺れる(笑)


でも、うどんは、つやつやしてとても美味しい。

製麺所で頂くうどんの良いところは、店舗の面白さだけではない。

茹でたてが食べられる、という香川ではなかなかない、利点があるのも製麺所ならではだ。



この日は釜玉。

あつあつのうどんに、卵、味の素、醤油。以上!!!