2012年12月31日月曜日

おにやんま。東京における最高の香川的うどん。


さて、今回は五反田駅前にある、

おにやんま

である。


開店は2010年の6月。

早いものでもう二年になる。

この店舗の開店により、東京のうどん界に激震が走った。



こことの出会いは少々時間が遡る。



香川にあった

恐らく、誰もが香川で頂点のうどん屋と言えば名前を挙げるであろう


琴平の宮武(閉店)


に行ったとき、いつもの様にカウンターで、

大将がうどんを切っているのを眺めながら大将と話をしていると

(私は大将の息子と同級生なので、高校時代から知り合いなのである)


「東京におるんなら、ウチで居った子が、

御徒町に「かがり火」いう店出したんや。

こないだ開店やったんで行って来た。

よかったら行ってあげてくれんか」


という。

そういうわけで、

御徒町の「かがり火」という、うどんダイニングに

時々通うようになった。



宮武と同じで、手打ち手切りのうどんを出し、

夜はまだ当時東京では珍しかった凱陣(香川の地酒)などを提供していた、

凄く良いお店であった。


それが

立ち食い形式の、うどんに特化したお店を出す。

と店長に聞いたのが4月頃。


6月の開店2日後に早速行ってみた。

立ち食いそば屋の居抜きということで、その狭さにびっくり。

厨房を取り囲む、コの字のカウンター。

10人がいいところだ。


しかし、食べてみてもっとビックリ。

まるで香川でうどんを、しかも、昔懐かしいうどんを食べている感覚が

モロに蘇り、東京でこれまで食べた中で最もインパクトを感じた。


僕は、本当に、あの連絡船のうどんを思い出した。

こんな経験はあとにも先にもこの時だけだ。

(40代以上の香川県民が、うまいうどんの例として二言目にあげるのが、

この連絡船のうどんである。

瀬戸大橋が架かる前、船で瀬戸内海を渡りながら、

デッキでうどんを食べたのである。

その美味さは、脳裏にやきついている。

試しに、40代以上の香川県民を見かけたら、

話題を振ってみて欲しい。きっと相当食いつくはずだ(笑))




うどん自体は大量生産の為、ここでは機械を使用。

しかし、そのレベルは高く、手打ち手切りではないからダメ、というようなことは全くない。




一気に、東京のうどん好きの間で話題になり、

そして、一年を待たずして並びの絶えない人気店となった。

更に、2号店を、大田区の青物横丁に開店。

こちらの記事を先に書いてあるので、

ご覧頂きたい → http://zugai-no-yuragi.blogspot.jp/2012/06/2.html




このお店の特徴は、週替わりの天ぷら。

これも色々凝った素材を使う。

この時は、醤油豆(香川の名物)と、タマネギのかき揚げ。





本場の讃岐うどんとはどういうものか?

香川に行く前に是非食べて頂きたい究極に近いお店である。


東京の讃岐うどんは概して、固い。

これは讃岐うどん=コシ という一般的に広まった概念に合わせているのだろうが、

本場讃岐のうどんは案外柔らかい。




そして、もう一つポイント。

香川では、毎日どんどんうどんを作成するので、結構ぶれる。

美味しいとされる店でも、美味しいときと、そうでもない時のぶれ幅がとっても大きい。

だが、香川県民は少々のぶれは気にしない。

なぜなら毎日食べるからだ。今日ダメでも、明日はいいかもしれない。

昨日美味くなくても、今日当たりならOK。

一ヶ月通って当たりと外れが7対3くらいなら、

「美味い店」と呼ばれる。そんなノリだ。

長い目で見たトータルなんである。



その点、東京の讃岐うどんは、必ずお客さんを満足させよう、

という気合が入りすぎている。

美味い対イマイチ、10対0の勝負に出てくる。


とても有りがたいことでもあるのだが、時として押しつけがましく、

何より「お客さんを満足させよう」という美辞麗句の裏にある

しっかりお客を掴んで儲けよう

という魂胆も見え透いてしまって疲れるのである。


一方、一回のトライでダメならもう行かない、

というノリの都会の客にも原因があるだろう。

客の方も情報誌など見て、わざわざ片道1時間以上かけて

貴重な休日の昼にわざわざ食べに来たりする。

だからどうしても、気合が入るし、店の失敗を許すことができない。

そして、うどん自体をそんなに食べないので

評価もあまり得意ではない。

一軒行ってダメなら

「讃岐うどんは美味くない」

と、讃岐うどん自体、へたするとうどん全体を否定しかねない。


仕方がないといえば、仕方のないことなので、決して否定も批判もしないが。
(うどん以外では僕も似たようなものだ)



その点香川は、毎日毎日。

ドンドン作って、ドンドン食べる。

先も書いたが、

一ヶ月通って7割良いのが食べられたら、

トータルで「美味い!」判定だ。

だから、一回一回には店もお客もあんまり気合を入れない。


そんなノリがおにやんまにはある。



時々かなりシビアなのが出てくるが(笑)、

懲りずに三回は行って貰いたい。


数回行って、トータルで評価するという、

香川県民が体感している本当に本場の讃岐うどんの楽しみ方が、

体験できると思う。



場所は五反田駅南口すぐ。

東急池上線五反田駅ホーム下。

朝~晩まで長くやってます。